社会のごみ箱(古道具屋編)

 

 

 

 買い出しにて

7/15

さて私達の仕事の根幹をなしているひとつが買い出しです。
なんだかんだいっても交換市場にでてくる荷物なんて本当にイイモノなんてほんのちょっぴりだし、メボシイ物はどうやったって高くなってしまいます。
その点やはり個人のオウチからの買い出しってのは荷物だってウブいし、値段的にも安く買えるコトが多いんです。

そんなワケでできるだけ良い買い出しにあたるようにいろんな努力をします。
電話帖に載せるのだってただのっけてるワケじゃありません。
より良い買い出しがありそうな地域に広告を載せるんです。
それ以外にも電柱に広告看板出してみたりヒマみちゃチラシまきにいってみたりと涙ぐましい努力を怠りません。

更に強力な業者になると古くてコ汚い家みたら片っ端からノックして歩きます。
こうなると強盗とさして変わりません。
だってちょっとでも門開けたらヤツラなにかメボシイものが貰えるまでは絶対帰ってくれませんから。

 

第壱話質屋のババァの場合

そのハナシを持ち込んだのは近所のお節介オバサンでした。
なにしろ親戚でもないうえに殆ど面識がない俺にまで(独身というだけで)縁談を持ち込んでくるよーな厄介なオバサンなんです。

そんなババァがアンタいいハナシなんだよ〜〜なんて持ってきたのは店の近所に住んでるという元オオダナの質屋の奥様(ババァ)のオウチの買い出しでした。

爺さんが生きてた間はでっかい家に住みワガママ放題だったバァ様も旦那死んでからイロイロ切り売りしていったってコトで俺がおじゃましたのはなんだかとってもボロいテイタラクなオウチでした。

で、養老院はいるのにお金が要るってコトになって最後までとっておいたお宝を売りたいとそういうことだったんです。

バァさんとしては一番イイモノを最後に残しておいたからできるだけ高く買って欲しい、特にこの横額は蔵が建つって旦那にいわれてたから最後までとっておいたお宝なんだ、当時200万円くらいの借金の肩代わりに旦那が押さえたモノなんだ、といわれて見てみたら一応深水とあって落款もあってはいます。
でも、贋物でしたからこれじゃぁなーとか思って横額調べたらふちのほうに飾りっぽく配置されてた鍔が結構イイモノでした。

「奥さん、これいくらくらいで売りたいんですか?」

「そうねーいくらって・・・。旦那はこれイッコで蔵が建つって言ってたんだけどねー。まぁ、200万円の肩代わりだから今だと利息がついて400万円位かしらねぇ?ソの位になればいいんですよー。」

「そうですかーワタシ不勉強なものでちょっと絵のほうは分らないんですよー 。もし、宜しければ専門の業者をお呼びしますけど・・・。」

「え?あんた買えないの?」

「いや、買えなくはないけど絵のほうは分らないのでそこの横のトコロに張り付いている鍔の値段になってしまうんですけど・・・。」

「で、いくらっていうんだい?」

「そうですね、5万円くらいでしたら・・・・。」

帰ってちょーだい!!××さんの紹介だから入れてあげたのに!!他のものもミンナ売ろうと思ってたけどあんたには売らないから帰ってちょーだい!!」

で、とっとと追い出されてしまいました。
でも次の日また電話があってお伺いすると今度は言い値でいいから兎に角全部引き取って欲しいということになっていました。

なんでもあれから電話帖みて画商を呼びつけたらしいんですけどニセモンは買えないって怒って帰っちゃったらしいんです。

で、バァさんすっかり意気消沈してしまった んですね。

結局他のものもまとめて15万円で買わせてもらってまぁ、そこそこ商売にはなりました。
アトから聞いたらそれまでにも何度か道具屋呼んでイロイロ売っていたんですよ。

ところがその道具屋達はみんなその横額を褒めちぎって

「いやぁ、奥さんこれはいいものだよ、これだけは老後にとっておきなさい。ワタシはこの汚い茶碗を譲ってもらえればそれで結構ですから。」

なんて具合にめぼしいモノはすっかり抜き取られたアトだったんですね。

まぁ可哀相だとは思いましたけどしょうがないです。
15万でも良く買ったほうなんですから。

で、このアト例のお節介オバサンからまた連絡がありました。

今度は高名な日本画の先生の姪を(当時45才未婚)その先生の絵を何枚かつけるからまとめて貰ってやってくれないかと。

勿論丁寧にお断りさせて頂きましたが。
なにしろワタシ不勉強な道具屋ですんで絵はわかりませんからね。

 

トコロ変われば品変わる

価値観てのはヒトによってホントに様々です。
特に文化の差というのは圧倒的ですよね。
最近でこそ円が高くて外人のお客さんって減っちゃいましたけど円がまだ200円台のころって一番なんでも買いまくってくれていたのはその外人サン達でした。

彼等は日本人が見向きもしないようなものにも関心を示し、(そういうものは安いし)考えつきもしないような使い方をして我々の了見の狭さをあざわらってくれます。

いつぞやお邪魔させてもらったフランス大使館の方の玄関にはシビン(但し江戸後期のだから陶器だけど)にハナいけてありましたし。(しかもソレ平和島骨董祭で15万円もだして購入したんだそうです。ワタシとてもじゃありませんが指摘できなかったですね、ソレ、フツー、病気ノニッポン人オシッコイレマースネーって。そんなことで戦争とかなったらイヤですもんね。)

そういうカラミだかどうだかは分りませんがある時期外国に使用済み仏壇をちょっとお洒落なワインケースとして輸出するとゆーアラワザにでた業者さんがいたんです。

まさに神仏をも恐れぬ所行ですがなにしろこちらでは使用済み仏壇などゴミ同然。
フツー交換市場なんかにそんなモン持ち込んだ日には
ソク出入り禁止という禁断の品です。

まーそれだけに殆どタダで仕入れるコトができるので売れりゃぁまさにボーズ丸儲けであることはいうまでもありませんケド。

本件の主役の××商会さんも仏壇を主にヨーロッパあたりに輸出しまくっていたそんなバチあたりな道具屋さんのヒトリでした。

そんなある日ドイツにある得意先のお店から問い合せの電話がはいりました。
なんでも先日送ってきた仏壇を店に出してみたらなんと
夜な夜な白い着物をきた女性が店を徘徊するようになったとゆうのです。

はぁ?なんだそりゃ?えらい変わった警備つことるのー?とか思って良く聞いてみたらどうも幽霊が出るようになってしまったということらしい。

あいたたた!こりゃ、まいったぜ!返品かい?

そうじゃありませんでした。
先方では新聞やテレビ局まで出動する大フィーバーぶり(死語)で連日行列がでるくらい店にお客が押し寄せてくる、ついては他にああいう
幽霊がついてくるようなモノがあればぜひまた欲しいという電話だったんです。

いやぁでも急にそんなコトいわれてもナ〜〜

ということで誰のモノかもわからない位牌とか卒塔婆とか送りつけてみたんだそうです。(まさに鬼畜ですね、良いコの道具屋さんはそんなモン海外に送ったりしませんて。)

ところがなんだかそれで成仏できたものなのか幽霊さんはソレ以来さっぱり出なくなってしまいました。

ソレと同時にあれほどフィーバーし、あわや観光バスの名所にまでなりかけてた町をあげての大イベントもウソのように収まってしまったそうです。

まぁでも幽霊さんもさぞビックリしたことでしょう。
化けてでたらドイツだったんですから。
結局どの仏壇から出てきたのかもわからないままワインケースとして売られてしまったようですがその後元気で新天地を徘徊されているんでしょうか?

気になるところですが迷宮入りですね。

 

ヤクザなんか恐くない

このハナシって以前付き合いがあったあるうだつのあがらない若手業者から聞いたハナシです。

そいつは基本的にダメなヤツでなにをやっても勤まらなくて色々な仕事を転々とするうちある道具屋さんにひろわれてそこで丁稚奉公していました。
で、そんなある日どこからどうみてもヤクザもんなおっさんが若い衆連れて店にあらわれました。

なんでも親分の誕生日になにかステキな骨董品はないかと捜しにきたってゆーんですと。

で、あれこれ物色するうち「おい、この壷ていくらするんや?」というのでみてみたらそいつは中国製のアラモノ(新品ものという意味。なんとなく古物っぽく作られてて中国やホンコン、台湾製のものが多い)の傘立てでした。

え?そんなモン買うのかい?確か5000円だっけ?と思って値段いおうとしたら奥から亭主があらわれて彼を制止し、片手を広げてみせました。

「おぉ!50万か!安いなぁ!ほんならこれ包んでくれるか?」

そうしたら亭主はなにもいわずそれはそれは丁寧に梱包して渡したそうです。

彼はどうしてもその時の光景がアタマから離れず独立してからもそーゆー商売ができる道具屋を目指して修行の日々を過ごしていましたが結局ものにならず業界をさってしまいました。

ま、それが正解だと思いますが。

 

ヤクザなんか恐くない2

新宿で刀とか扱ってる道具屋さんがいたんですが、なんだかそこはやたらと刀が売れるってンで気をよくしてバリバリしいれてビシバシ売りまくってたらある日警察の指導がはいってしまいました。

なんで?て思ったらヨウは刀買ってた連中の大半がヤクザ関連なヒトタチで購入した刀は美術鑑賞目的ではなくて戦斗、殺害目的に使われてたんですね。

どうりでヒトリで何本(本当は何振りってゆーんですけどね)もまとめ買いしていくはずです。
下手すりゃ登録なんていらねーからその分安くしてくれなんてことをいう無茶なお客もいたってゆーから本当ならそのあたりでどーもヘンだなーって気がついててなけりゃいけなかったんですけどね。

警察としてもこんなところで武器供給されたら困るってコトで注意が入ったワケなんですよ。

まぁでもこの道具屋さんにしてみりゃ本来なら売りづらい現代刀あたりがポンポン売れてしかもいつもニコニコ現金払いなんですからもう、そんな素晴らしい上客を疑うだなんてそんなーとんでもないですぜってトコだったようです。

まぁ、でもねー、これでヤクザが火縄銃とか購入してそいつで抗争してくれてたりしたらもっと楽しかったのにねー。
ちょっと残念です。

 

 

 

ヤクザの為染め錦(色絵大皿)はあるのよ。

ある日、知り合いで青山で骨董屋やってる業者のトコに納品がてら遊びに行ったトキのハナシです。

その業者さん自体は若くてそれなりに趣味のいいオトコなんですがどうにも扱っている商品がお下品なんです。

別にアラモノとかを置いてるワケじゃないんだけどこんなモンドコ飾るんだいってクライド派手キンキラキンの大皿とかがやたらとある。

勿論ちゃんと古いものですから値段だってハンパじゃありません。
世程趣味の悪いお大臣みたいな連中が正月あたりに門松の横にでも並べちゃいそうなものが妙に多いんです。

そんなモンが骨董屋がひしめき合ってる青山あたりで売れるとはどうしても思えないんですけど確実に商品は入れ代わっています。

前から気になっていたんでちょっと聞いてみました。
「このテの皿ってだれが買うのさ?こんなのフツー大会とかだしたって田舎業者にしか売れないでショ?」

ヤクザだよ。地元のヤクザ、こんなお下劣なモン欲しがるのなんて連中くらいのもんだよ。ウチってオヤジの代からじゃない?だからそういうお客がついてるのよ。俺だってこんなモンおきたかないけどしょうがないじゃん、良く売れるんだからさー。

なるほどねーそりゃーしょうがないわーとか思ってたらまんまとヤクザが店に入ってきました。

「なんかいいの入ってる?」

「あっ!!お待ちしてたんですよ〜〜ちょっと御注文より大きめなんですけどいい上がりですよ〜〜」

「あぁ?これ・・?ちょっと派手すぎない・・?

「なに気弱なコトいってんですか〜〜。そんなコトじゃいつまでたっても全国制覇なんてできないですよ〜〜。やっぱりこのクライはっきりした色絵じゃないとー。」

「そ、そう?」

「事務所にこんなのドカ〜〜ンて置いたらそれだけでハクつきますって」

「そ、そうかなー?それでいくらなの?」

「お安くしときますよ。先代からのおつき合いなんですから〜。あとで事務所に届けときますから〜!!」

そっかー別にヤクザが趣味が悪いんじゃなくってコヤツラが親子2代に渡ってお下劣な古美術洗脳教育をしてたんですねー。

でも、良くそんなに次々買うよなー、世程事務所が広いんだろうかとか思ってたら、オバカな組員がヤマ程狭い事務所(なにしろお家賃高いですから)にひしめき合ってるおかげで次々皿やら壷やらを割ってくれるんだそうです。

そのおかげで月に2〜3枚位はその事務所から注文がきて笑いがとまりませんがなとソヤツは申しておりました。

かの事務所の関係者がコレをよんでヤツのお店にカチコミをかけないコトをお祈りしつつ次回へと続かせていただきます。

 

ウソつきは道具屋の始まり

7/13

まぁでもなんですかね、ヒトクチに道具屋っていってもホントにいろんなヤツがいるんですよ。勿論全員が全員というわけではありません。
特に都内のある程度古い会場ならそういう業者もあんまりいないと思います。

ただそういう商売をやってきた連中にとっては一種職業病みたいなもんなんですね。
こういう業者の特徴としては見た目にやたら高価そうな(趣味の悪い)モンをこれ見よがしに並べてて、値段とかあまりつけてません。
なんだかやたらに親切に話し掛けてくるんですがフト気がつくと出口にたっててきっちり退路をたたれていたりします。

商品なんかも異様にデカイきんきらきんの壷とか置いてたりしてね。
で、値段聞くと「安いですよ、本当は500万だけど300万くらいでいいですよー」なんてね、そんな
高いモン露店で売るな!っての。
大体いきなり200万も安くなるってどういうことなのさ?
一体いくらで仕入れてるんだよ?
客ナメンのもいい加減にせぇよ!!

とフツーならそう考えるべきなんですけど以外とこれでひっかかってしまうヒトが多いンですよ。

実例1

「これ(大観と書いてある掛け軸、勿論ニセモンでんがな)青山あたりの骨董屋に持ち込めば500万位になるんだけどアナタ良いヒトだから(?)特別に150万で売ってあげますよ」なんて言われてしかもヨコハマの地下街でやってたフリーマーケットでそんなモン買っちまったオヤジがいたんです。

で、ある日手形が焦げ付きそうになってそうだそうだ俺っていいモン持ってンだよねーなんて青山の骨董屋持っていったら「そうですねー、まーハコもいいし、デキもいいからま5万円でかっときましょうか?え?ニセモンですよ?ナニ?500万円だ?大丈夫ですか?」なんて言われてアタマに血が上りソッコーで売りつけた業者に捩じ込みにいきました。

したらその業者「アンタ、そりゃ騙されたんだよ!いやー青山にもヒドイ業者がいるんモンだねー」なんて答えたモンだからオオゲンカになってましたね。

まーアトから聞いたらオヤジもオヤジで150万を100万まで値引きさせてしかもツケだったそうです。つまりこの時点でまだ一円も代金払ってなかったんですね。

結局80万円オヤジが払うことで一件落着したそうです。
オヤジ100万に値引きさせたところでナニがあっても返品しないっていっちゃってたんですね。
ま、これはあんまり同情の余地ないです。
ただこの業者さんはあっちこっちでそういう商売したのがたたって殆どの骨董市に出入り禁止になってますが。

勿論そんなヒドイ業者ばかりじゃありませんが大体露店でそんなモンが堂々ところがってるあたりでまず疑わなきゃダメでしょう。

でもね、朝一番で夏目漱石の短冊を30万円でかった業者がいて、それをやはり知り合いの業者に100万円で売ったそうです。
で、それは結局300万円(未発表の俳句だったらしい)で売れたっていうから見る目があればそういうものが手に入るかも知れませんが大体はマガイモンですな。

実例2

もう大分前のことになるんだけど関西のテレビである有名な道具屋のジジイが出てきてなんだかこきたない掛け軸のヤマを整理してたんですって。
そこへ若いアナウンサーが

「この掛け軸のなかでだとどれがいいヤツなんですか?」って聞いたら

「そうやねー」とおもむろに手近にあった一本を掴んで

「まぁ、これなんかええヤツやな!」というので

「どのクライの価値があるんですか?」と聞いてみると

「ま、だすトコ出したら国宝やね!1000万円はくだらんな!」といわれ

「ホ、本当ですか!?そ、そりゃ、スゴイ!!じゃぁ、ちょっと預からせてもらって鑑定させていただいていいでしょうか!?」ということになりました。

で、今度は有名な鑑定家のところに持ち込み、

「いやぁ、先生、なんでも国宝級の掛け軸で1000万円くらいするものらしいんですけど鑑定して頂けますか?」

「うん?どれどれ見せてごらん」。

先生その掛け軸を広げて一瞥するなり憮然としてとポイって投げてしまいました。

「せ、先生!なにするんですか!!」

「あ??」

アナウンサー気を取りなおして

「先生?あの掛け軸は一体いくらくらいのモノなんですか?」

「あ?500円。」

「え?」

「こんなゴミもってくんな!!」

アナウンサーは掛け軸を回収するとくだんの道具屋のところにとってかえしました。

「おじさん!あの掛け軸ゴミだって言われましたよ!!」

「そうかーそら大変やったなーちょっとみせてみ?」

それで掛け軸を返すと

「あ?こらあかんわ!」

「え?なにがいけないんですか?」

「間違うて違うの渡してもうたんや!ごっつう堪忍や!」といいつつまた適当な掛け軸を掴み

これや!これが国宝や!!

勿論その掛け軸は鑑定に持ち込まれることはありませんでした。
ちなみにこの道具屋さん地元ではチョー有名な業者さんらしくて本人によると家中国宝だらけだということです。

まーコノくらいは洒落だと思って許してやってください。
こんなコトでいちいちメクジラたててたらこの業界なんてゼンゼン成り立たないんですから。

 

 

狼中年

 

 ヤンキー上がりのそのオトコはなにからなにまでウソばっかりついてました。
まぁなんていうかミエッパリというか、虚言癖とでもいうのでしょうか、ウソでコテコテに塗り固めた人生を送ってましたね。

まず売り上げでオオウソついてくれます。
どうかんがえたって売れてるワケないのに今日は30万売っただとか、どこそこの骨董市で50万うっただとか。

市場で荷物出して400万売ったとかね。

荷物も最初のウチは仙台箪笥だとか蛸唐の伊万里蕎麦猪口だとか定番の高級商品が多く、値段も決して安くない設定でしたからそんなものが露店でポンポン売れてるのなら相当凄腕の道具屋ってことになります。

業界歴も本人曰くは15年やってるというわりにはドコの市場でも会ったコトがナイという不思議な業者さんでした。(本人はずっと店でやってたからそーゆーところに出る必要がなかったとかいっておりましたがじゃぁなんでいきなり来るようになったかの理由はマッタク不明でしたね)

アト会ったこともない大物業者とマブダチだとか口をついてでるのは恐らく彼的には理想の姿なんでしょうがもともと業界にはいって日が浅いウチからそんなウソつきまくるもんですからなんだか滑稽なモンのほうが多かったようです。
しかもそれが日常にも及んでましたね。

例えば業者連中とバイクのハナシとかしてると割り込んできて若い頃どこそこの族でアタマはってて無茶したモンだよな〜〜!××さんには可愛がってもらったんだよ〜!今どうしてるのかな〜〜!とか始まるわけです。

で、ちなみに××さんて彼の推定年令で現役時代を逆算すると小学生低学年のトキに可愛がってもらってた計算になったりしてしまいます。
恐るべき小学生です。
ちなみに当時愛用してたバイクは
Z2(このバイクしか知らないみたいでしたね、バイクといえばZ2っていえばいいと思ってたみたい、あいつとララバイとかの読み過ぎだな。)だったそうです。
コーナーで突っ込んで
タンクにキンタマのカタがついてしまったとかぬかしてました、小学生なのに。
多分
シート外して座布団かなんか縛り付けて乗ってたんでしょうね。(なにしろ小学生低学年だからな、)
そうでもしなきゃ足とかつくわけありませんから。(それでもムリだろ)

アト学校はアメリカンスクールで将来はアメフトの選手として期待されていたらしいんですが腰を悪くして引退、オヤジさんのアトをついで骨董屋になったそうです。(本人談。確かに英語は多少ですが喋れたようです。でも外観は思いっきりコテコテのヤンキーなんですよ。アメリカンスクールってどうかんがえてもヤンキーとは極北の存在のような気がするんですけど。)

万事がコノ調子であちこちの会で役員になりたいと売り込んでいたようですが、どこでもやんわりと断わられ、最後のほうで東京の外れのほうでやってた骨董市の役員に就任したようです。(駐車場係ね)

とにかくいろんなウソで楽しませて頂きましたが圧巻は10屯トラック2台が縦に突っ込める巨大倉庫があってそこには箪笥が300本と露店なんかには絶対持っていけない古美術品がヤマのようにあるというヤツでした。

人間的にはどこか憎めないヤツでしたがなんでもう少し自然なスタンスで付き合おうとしなかったのかは理解に苦しむところです。

最後のほうは荷物もすっかりしょぼくなり、それでも「あーこりゃ在庫整理なんだよ。捨てたっていいんだけどそのほうがお金かかるからね。」なんて最後まで見栄をはりとおしていましたっけ。

結局あちこちの業者から荷物を借りて、でも売れなくて市場で投げてしまい、結果あちこちに借金を作ってこの業界から消えてしまったということになっています。

まぁ、別に彼以外にもそういった見栄的なウソをつく業者はヤマのようにいるんですけど良く聞いてると大体は自分にそう言い聞かせてるようなそんな類いのウソのようです。

俺はこれでいいんだ、これでいいんだ、良くやってる、頑張ってる、頑張ってる他のヤツよりマシ、他のヤツよりマシなんじゃぁ〜!!みたいな、でも彼のはもう殆ど妄想に近いものがありましたね。

まぁでもいいんです。
個人的には別に。

充分楽しませて頂きましたから。それに彼のウソって少なくとも他人に対する悪意だとかそういったものは含まれていませんでしたから。

だからゼンゼン大丈夫なんですよ。

この業界って苛めっ子業界ですからソンナやめかたすればそりゃぁボロクソだけど俺は少しくらいなら味方になってあげますから。

 

 

 

能書き

7/12

現在は古道具屋をホソボソと営んでおりますがワタシこの歳になるまで結構いろんなお仕事を転々としてまいりました。
でも基本的に集団作業とか協調性とかかけ算とかイロイロ苦手なものが多かったので職種はかなり偏向していましたが。

で、イロイロやってみたなかこれはもう最低レベルだっていうのは(なんだろう、差別的な意味あいじゃなくってもう、これできなきゃ他に仕事なんか絶対無いぜ!くらいの意味ですかね)間違いなくストリップ劇場の布団ひきという職種でした。(舞台で本番まな板とかやるヒトのために小道具の布団をひく仕事。勿論本番が終わればそっと引っ込めます。)
なにしろ布団さえひければいいんですからコレ以上簡単な仕事はありえません。
布団ひくだけで定年もなくメシが食えて住むところが確保して貰えてお小遣い程度ですがギャラだってでるんですから。(上手?にひければ踊り子さんからチップだって貰えます。)

この布団ひきという職種はストリップ劇場内で掃除や売店なんかの全ての雑用がつとまらなくても最後の砦のように燦然と存在する職種なんです。

まぁしかしちゃんとリスクは存在します。これってれっきとした公然猥褻物陳列罪幇助という犯罪行為なんですね。
ですから何回か捕まると懲役がつくのでそれ以上はできなくなってしまうんです。

なんてハナシを同業の古道具屋さんとしていてフト気がついたんですが私達のお仕事ってやたらと間口が広いんですよ。

簡単に言えば誰でもいつでもすぐなれるってコトでしょうか?(食えるかどうかはゼンゼン別のハナシなんですが)

中に入ればいろんな意味で物凄くレベルが違っててコト細かに階級があり、(そりゃぁもうヒンドゥ教のカースト制度みたいに)露骨な差別があったりするんですがそれでも取りあえず全員同じように道具屋って単語でくくるコトができてしまうんです。

つまり前出したストリップ劇場の布団ひきから大学教授まで犯罪歴がなくて(あってもなっている業者もいます)日本国籍さえあれば誰でもなれるというとってもフトコロの広い業界なんです。

しかも元の仕事がなんであれそれはマッタク関係なく、なによりも目利き(ハッタリともいいますね)と経験年数(ウソついてもすぐバレます、なにしろ狭い業界です)人間性(評価の基準がかなりひん曲がっていますが)がモノをいう世界でもあるのです。

唯一の共通項は古道具という異様に曖昧なものを扱っているという一点のみです。
でもそれだって所詮は
モトが要らないものに勝手に値段つけて能書き垂れて売ってるだけのコトなんですからとても世間様に申し開きのできるようなお仕事だとは思えないんですがどういうわけか選民意識の強いヒトが多いようです。

そんなわけで、団結力とかミジンもありません。
なにしろ自称自由人の集団でもありますから。
結果あちこちに似たような団体が群立しお互いにワルクチを言いあってたりします。
まぁ、でも内容は似たようなモンですから目くそ鼻くそですけども。

なにしろこれだけ業者がいて歴史もあり団体もゴマンとあるというのに統一された協会とかそういうのがゼンゼンないってのはやはりスゴイことなのかもしれません。

きっとできないんですよ。

自由人のあつまりっていえば聞こえいいけど実際のところは他のどんなお仕事も勤まらなかったけど道具屋はできちゃいました!ってヒトタチの集団なんですから。
最近になってようやくリストラとかで割とフツーなヒトタチが業界に流れ込んできて結構様変わりしましたけど、ワタシなんかが入った頃は
電車に乗るコトが出来ない、とか毎日決った時間に起きたりするなんて絶対ムリだとか、朝から酒飲んでないと仕事できないなんてヒトタチの溜まり場でしたからね。
家屋解体業からこの世界にスライドした当初、とてもじゃないけどおっかなくって骨董市出れなくてフリーマーケットしか出てませんでしたから。

なんか来るトコまで来ちまったなーとか思ってましたよ。
あのころはまだ純真で良心のカケラとか残ってましたからねー。

 

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